「雨が降ると関節が痛いのよ」、「寒いと関節が痛いのよ」という言葉を聞くことは多いですよね
天候と痛みというのは何かしら関連があるんだと感覚的には思っていますが、返答としてはごまかしてしまう
少し曖昧にしていた部分も多かった天候と関節の痛みに関して、14もの研究を利用したメタアナリシス研究を紹介します
文献情報
Wang L, Xu Q, Chen Y, et al: Associations between weather conditions and osteoarthritis pain: a systematic review and meta-analysis. Ann Med.2023 Apr 20;55(1):2196439.
doi: 10.1080/07853890.2023.2196439
抄録和訳
背景
天候が変形性関節症(OA)の疼痛に影響するという意見があるものの、臨床研究から得られた結果は依然として一致していない
本メタアナリシス研究は、天候とOA疼痛との関連を見出すことを目的とした
方法
Cochrane Library、Embase、PubMed、および Web of Science を、2022年9月30日まで調査した
疼痛強度と関連するすべての気象条件を検討した観察研究を対象にした
システマティックレビューでは、選択された研究の方法論の質を評価し、best-evidence synthesis を用いて良質な研究を選択した
バラツキのない結果に基づき、温度(T)、気圧(BP)、または相対湿度(RH)とOAの疼痛から算出された Fisher の Z スコアを統合し、さらにそれらを相関係数へ変換してメタアナリシスを行った。
結果
計14の研究が、採用された
14研究中13研究が一貫した結果を報告しており、気象因子全般がOA疼痛と関連するという強いエビデンスが認められた
続いて、気圧(BP)または温度(T)に関する3研究、および 相対湿度(RH)に関する5研究が、OA疼痛との関連についてメタアナリシスに含まれた
その結果、
- 気圧(BP)(pooled Fisher’s Z = 0.37, 95% CI 0.15–0.59; summary r = 0.35, 95% CI 0.15–0.53)
- 相対湿度(RH)(pooled Fisher’s Z = 0.10, 95% CI 0.01–0.18; summary r = 0.086, 95% CI −0.05–0.22)
は OA疼痛と正の関連を示した。
一方で
- 温度(T)(pooled Fisher’s Z = −0.38, 95% CI −0.60–−0.16; summary r = −0.36, 95% CI −0.54–−0.16)
は OA疼痛と負の関連を示した。
結論
本研究では、気象因子全般がOA疼痛と有意に関連することが示された
これは、OA患者のヘルスマネジメントに有用な情報を提供できる可能性がある
一貫した気象条件を用いてデザインされた、さらなる研究が求められる
マイルの推し文(POWER SENTENCE)
When clinical research evidence increasingly demonstrates the aggravation of weather conditions such as T, RH and BP on OA pain, weather factors should be considered in OA management.
臨床研究のエビデンスが、温度(T)、湿度(RH)、気圧(BP)というような気象因子がOAの疼痛を悪化させるということを多く示している場合、OAのマネジメントに天候の影響を考慮する必要がある
感想にまいる
このメタアナリシス研究から、明らかに天候とOAの疼痛には関連があるということが示されており、
「雨が降ると痛いのよ」、「寒いと痛いのよ」という発言は、本当に痛いんだということを示してくれています
若くてOAとは無縁なセラピストは、患者さんの訴えるこの痛みは「メンタル的なものじゃないの?」と思ってしまうこともあるかもしれません
OAの疼痛をマネジメントする際に、天候によっても痛みが出現するということをお伝えし
患者本人が把握しておくことで、疼痛に対しての恐怖感や不安感の軽減につながるのではないでしょうか
かくいう私も、寒い日に膝が痛むことが増えてきました…
気温と痛みの関係に関しては、詳細な考察もされています
論文中で、温度感受性のTRPチャネル:Thermosensitive Transient Receptor Potential channels(Thermo-TRPs)
というワードが挙げられており
低温にさらされることで増加するTRPA-1というタンパク質が末梢神経の感覚受容器を刺激し、疼痛が増悪するという基礎研究が紹介されています
気圧に関しては、詳細な考察はありませんでしたが、
気圧の低下は相対的に関節内圧を増加させ、疼痛につながる可能性が考えられます
また、関節内圧の増加は筋抑制に影響する報告もあり、筋が抑制されると、動作時の関節の過負荷につながっていく可能性も十分に考えられます
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天候と痛みに関して、基礎研究レベルから解明されていくと興味はさらに深まりますね
ご覧いただきありがとうございました














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