膝関節内圧

関節に水腫がある時、膝を伸ばしきると痛い、深く曲げても痛い…

でも、軽く曲げているとそんなに痛くない という症例を経験したことはあるかと思われます

痛みの原因としては、骨・軟骨、関節包・靭帯、筋腱・筋膜、脂肪組織、皮膚、神経等々考えられますが

関節の内圧が原因で生じるエラーも挙げられます

膝関節がどんな角度の時に関節の内圧は低くなるのでしょうか

今回は、膝関節の関節内圧に関してお送りします

目次

文献情報

Wood L, Ferrell WR, Baxendale RH: Pressures in normal and acutely distended human knee joints and effects on quadriceps maximal voluntary contractions. Q J Exp Physiol. 1988 May;73(3):305-14.

 doi: 10.1113/expphysiol.1988.sp003147.

抄録和訳

同意を得た5名10膝の関節内圧を記録した

安静時の関節内圧は大気圧より低く、平均値は−5±1.5 mmHg(平均値の標準誤差)だった

正常な関節では、関節角度の変化に伴う関節内圧の変動はほとんど認めなかった

関節腔内に無菌生理食塩水をわずか5mL 注入しただけで、関節内圧は大気圧以上のレベルまで上昇した

この時、関節角度の変化による関節内圧の推移が明らかに変化した

下肢を屈曲位から伸展位にした後、屈曲位へ戻す時に関節内圧は上昇し、中間域で最小値を示した

この推移は、関節を他動的に動かした場合よりも、能動的に動かす場合の方がより顕著だった

関節内注入量を増加させると、関節内圧は上昇し、関節角度に伴う関節内圧の変化の程度も増大した

屈曲–伸展の周期運動を繰り返すと、伸展位で観察された最大圧は徐々に低下した

膝関節の水腫は、関節機械受容器求心性入力による反射性抑制のため、大腿四頭筋の等尺性および等速性の最大随意収縮の大きさを著明に低下させた

マイルの推し文(POWER SENTENCE)

When fluid is introduced into the joint, even in volumes as small as 5ml, intra-articular pressure rises above its normal sub-atmospheric values and begins to show marked fluctuations with changes in joint angle.

関節内へ液体(生理食塩水)を注入すると、5mlの量でさえ、関節内圧は大気圧よりも高く上昇し、関節角度の変化による関節圧の推移が明らかに変化し始めた

感想にまいる

関節内の実際の内圧を計測した論文です

正常の関節では生じない挙動が5mlの関節液を注入しただけで生じるという研究結果は興味深く、膝に水腫があることで生じる関節内圧の変化は頭に入れておきたいですね

健常膝と10ml生理食塩水を注入した膝で関節運動時の関節内圧の変化を示した図です

関節角度による膝関節の内圧を見てみると、水腫がある状態では膝屈曲30°での内圧が最も低くなることが分かりました

膝の拘縮が起こってしまう方は軽度屈曲位で拘縮することが多いですが、

これは内圧の低い楽な肢位で固定することで生じる可能性があります

膝の夜間痛や安静時痛がある時は、関節内圧の低くなるポジションで過ごすと楽ですが、痛みが落ち着いたら適度に関節を動かしていくことが重要です

実際に論文中でも、屈曲・伸展の関節運動を繰り返すと関節内圧は低下したとあります

関節内圧が上昇する要因としては、関節水腫のみならず関節包や関節周囲の筋、腱の柔軟性からも影響を受けるものなので可動域運動を通して軟部組織が柔らかくなると内圧は低くなる可能性はありますね

同研究内での、面白い知見として健常膝水腫のある膝水腫下で局所麻酔をした膝

90deg/sec、180deg/sec、300deg/secでの等速性の膝屈曲・伸展筋力を計測した報告では

水腫のある膝では優位に筋力低下が起こったが、関節に局所麻酔をすると筋力低下は起こらなかったと報告しています

これは、関節内の水腫が関節の受容器を通して筋収縮を抑制することを示しています

いわゆる関節原生筋抑制(Arthrogenic Muscle Inhibition:AMI)です

リハビリに臨む上で、関節内圧や水腫がある時の膝の特性について把握してリハビリに臨みたいですね

マイル
理学療法士・ブロガー
理学療法士歴10年超の30代
クリニック、病院勤務、スポーツチーム帯同を経て得た経験を発信中
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