肩関節内圧

肩関節周囲炎のリハビリで

ポジショニング指導をする際、肩関節の内圧を意識することはありますか?

肩の関節運動をする際、肩関節の内圧を意識することはありますか?

肩関節の可動域運動時に、肩の肢位による関節内圧について知っておくことで、

より効率的にリハビリをできる可能性がある!と思わせてくれる論文をご紹介します

目次

文献情報

Hashimoto T, Suzuki K, Nobuhara K: Dynamic analysis of intraarticular pressure in the glenohumeral joint.J Shoulder Elbow Surg. 1995 May-Jun;4(3):209-18.

doi: 10.1016/s1058-2746(05)80053-9.

抄録和訳

180の肩甲上腕関節を対象に、肩関節内圧の解析を実施した

関節内圧は、肩関節運動中に特徴的な変化を示し、健常群では、肩甲骨面上-挙上40°で圧が最小だった

拘縮肩の患者では、挙上の初期段階で圧が増加し、その状態が持続した

腱板不全断裂群の圧変化は健常群に類似していたが、断裂群では圧変化が小さかった

腱板断裂患者において、上肢挙上の制限がない場合は、健常群に近い圧変化だった

しかし、自動挙上が著しく制限されている場合、一部の症例で有意に圧変化を認めなかった

不安定な肩(肩関節不安定症、腱板疎部損傷、脱臼)では、圧上昇の変化は遅く、圧変化の範囲は健常群よりも狭かった

関節内圧の変化は関節内腔容積を反映していると推測される

関節内圧の測定は、機能評価において臨床的に有用な可能性がある

マイルの推し文(POWER SENTENCE)

In our study the minimum pressure was observed at an A-T angle of 40° during elevation in the scapular plane.

我々の研究では、肩甲骨面の挙上40°で関節内圧が最小になることが分かった

感想にまいる

1995年に公開された、180もの肩関節で関節内圧を動的に解析した貴重な研究です

関節内に生理食塩水を注入し針からの圧を計測しながら肩甲骨面上で肩の挙上→伸展をするという研究で、当時だからできた研究なのかなと思います

測定された180の肩関節の内訳は以下の通りです

健常群12
腱板損傷51
拘縮肩26
loose shoulder40
腱板疎部損傷31
脱臼20

腱板損傷51例の内訳は、小断裂14例、中断裂24例、大断裂13例

拘縮肩26例は2つに分類されており、 90°以上挙上可能22例、90°挙上不可4例

不安定肩のloose shoulder、腱板疎部損傷、脱臼に関してもFSH(free surface angle of humeral head)角を利用して2つのタイプに分類してそれぞれの肩甲上腕関節の関節内圧を検証しています

健常群と拘縮群の90°以上挙上可能群、90°挙上不可群の図を共有します

90°挙上困不可群は健常群に比べて肩関節挙上初期から圧が大きいことが分かります

肩関節の内圧が上がる要因は種々考えられます

  • 関節肢位の変化による関節包の伸長・短縮により生じる関節包の容積の変化
  • 筋腱の収縮・伸張により関節包外からの圧による変化
  • 皮膚、皮下組織、脂肪組織、靭帯の伸長・短縮による関節包外からの圧による変化

図に着目すると、健常群において関節を挙上していくときの関節内圧と挙上から降ろした時の内圧が同じ関節角度でも違っています

本文では、この現象について

This occurrence may be due to the increase in muscle tension around the shoulder.

これは、肩周囲の筋の緊張が増加することにより生じる

とされています

関節内圧は、関節角度のみならず、その時の軟部組織の影響も受けることが分かります

90°以上挙上不可群の拘縮肩の内圧が上がる原因としては、

関節包の肥厚や柔軟性低下の影響で関節包自体が伸長しないこと、

周囲の軟部組織の柔軟性低下が関節包の外から圧をかけてしまうこと、

疼痛で筋収縮が誘発されることなどが挙げられそうです

肩関節周囲炎に対する、ポジショニングの姿勢は

  • 軽度外転(外転40°)
  • 肘の高さを上げる(肩甲骨面上に肩甲上腕関節を位置させる)
  • 内旋して肩関節前方組織のテンションを下げる

肩関節の内圧が低い肢位ですね

また、肩甲上腕関節の可動性を評価する際は

関節内圧が最も低くなる肩甲骨面上の40°外転位で内外旋の可動域を評価すると

周囲の軟部組織の影響を受けづらい位置で関節の可動性を評価できるのではないでしょうか

肩の内圧に関して知っておくことで、臨床に活かすことができそうです

腱板断裂群、不安定肩の内圧変化も図とともに紹介されています

本文もぜひご一読ください

マイル
理学療法士・ブロガー
理学療法士歴10年超の30代
クリニック、病院勤務、スポーツチーム帯同を経て得た経験を発信中
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