歩行や階段昇降の日常生活動作やランジや片脚ホップの運動時に膝関節にどのくらいの負荷がかかるかを研究した論文です
膝関節を大腿脛骨関節の内側・外側、脛骨膝蓋大腿関節と分類し各エリアに生じる負荷を客観的に報告されています
今回は、大腿脛骨関節に言及されている部分を主にピックアップして紹介します
この記事のポイント

- 15名の健常者を対象に複数の運動を行い動作分析を行いました
- 動作をコンピューターモデルで分析し大腿脛骨関節と膝蓋大腿関節に生じる接触圧、剪断力、筋力を計測しました
- また、大腿骨を各エリアに分けて各運動時に生じる負荷を計測しました
文献情報
ファンクショナルエクササイズ時の健常成人の膝関節に対する負荷:リハビリのガイドラインを示唆
van Rossom S, Smith CR, Thelen DG,et al: Knee Joint Loading in Healthy Adults During Functional Exercises:Implications for Rehabilitation Guidelines.J Orthop Sports Phys Ther. 2018 Mar;48(3):162-173.
doi: 10.2519/jospt.2018.7459.
抄録和訳
背景
エクササイズ中の膝の接触圧については分からないことが多く、膝の損傷後のリハビリテーションにおける運動は専門家任せになっている
目的
スクワット、ランジ、片脚ホップ、階段歩行、立ち上がり、歩行などの運動時の膝への負荷を定量化し、運動時の膝関節負荷をグレーディングすること
方法
リハビリで使用される9つの動作で、15名の健常成人の三次元動作解析データを取得した
実験で得られた動作データは筋骨格モデリングを用いて処理され、膝の各関節(大腿脛骨関節および膝蓋大腿関節)に加わる接触力と剪断力を計測した
統計的に接触力と剪断力は各関節および各運動の間で比較され、筋力および大腿骨にかかる平均と最大の力は各運動で比較された
結果
スクワット以外での、エクササイズは歩行と比較して脛骨大腿関節により高い負荷が生じた
同様に、膝蓋大腿関節に生じる力もすべてのエクササイズで歩行と比べて大きかった
接触力が大きいほど、剪断力も大きかった
さらに、大腿骨内側および外側への力の分布はエクササイズ間で異なっていた
膝屈曲が増えると、大腿骨顆の後方により大きな力が加わった
結論
運動によって力の配分が大きく異なることから、運動を慎重に選択することで関節の損傷部位への負荷を減らすことができるかもしれない
本研究から、リハビリ中の膝関節負荷を段階的に増加させるためのグレード化されたエクササイズプログラムを立案することができる
マイルの推し文(POWER SENTENCE)
Tibiofemoral CFs were higher during all exercises compared to those during gait, except for those during sit-down, stand-up, stair ascent and descent, and squatting.Interestingly, although these exercises required greater knee flexion range of motion, the tibiofemoral CFs were equal to or lower than those during gait.Similar findings were previously observed using instrumented knee implants and can be explained by the bilateral nature of the tasks, distributing body weight over both lower extremities, and by the lack of foot-floor impact.Consequently, these exercises can be used to train quadriceps muscle early in rehabilitation without exposing the tibiofemoral joint to high CFs.
大腿脛骨関節の接触力(CF:contact force)は、座り込み、立ち上がり、階段昇降、スクワット以外の運動で、歩行時よりも高かった
面白いことに、これらの運動は歩行より大きな膝屈曲可動域を要するにもかかわらず、脛骨大腿関節の接触力は歩行時と同等、もしくはそれ以下であった
同様の所見は、膝インプラントを用いた研究でも以前に観察されており、両脚動作のため体重が両下肢に分散されることと、足部と床面との衝撃がないことが理由として挙げられている
これらの運動は、大腿脛骨関節を高い接触力にさらすことなく、リハビリテーション早期から大腿四頭筋のトレーニングで用いることができ得る
感想にまいる
今回は、大腿脛骨関節に生じる負荷を中心に着目します
PF関節に生じる負荷に関してはこちらもご参照ください
今回の研究結果から、以下のようなデータが示されています


大腿脛骨関節に関しては、椅子からの立ち座りや歩行、階段昇降では最大負荷に関しては大きく変化はないことが読み取れます
平均の負荷を考慮すると、椅子からの立ち座りは強度が低く、大腿脛骨関節への負荷をかけるために荷重運動を開始する際はまずは椅子からの立ち座りから始めることが良いと言えますね
大腿脛骨関節に関して、歩行と階段昇降にあまり差がないことは意外な結果でした
PF関節に関しては、歩行と階段で差が生じてきます(参照:Fig.2D)
また、伸展筋の活動も歩行から階段を比べると大きな差が生じる(参照:Fig.7)ので、階段が痛いという方に関しては伸展筋とPF関節がカギを握ると考えると良いのではないでしょうか
大腿脛骨関節をターゲットにした荷重練習の際は、これらのデータが一つキーポイントになりそうです
データを把握しておくことで、この運動は膝に体重の〇〇倍の負荷がかかりますよ
ということがより根拠を持ってお伝えすることができますね
臨床の参考にしてみて下さい
ご覧いただきありがとうございました














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