損傷した筋線維は元の組織に戻るの?
肉離れのリハビリをする上でも欠かせない病態理解
筋の損傷程度を把握してJISS分類に当てはめることで大まかな予後は決まりますが、
筋は損傷後どのような修復過程を辿るのかということを知っておくことも大切です
病態理解をしていくと肉離れの予後の理由を考えるきっかけになりますね
今回は、筋の修復過程について2つの論文からの知見を共有します
筋の修復モデル

筋線維が修復したということは必ずしも元の連続した筋線維になるということではなく、断端が瘢痕組織で詰まった状態になって繊維として連続するというイメージを持っておくといいですね
筋の連続性は筋線維から瘢痕組織を介した筋腱接合部へと変化するので筋繊維の連続するサルコメアが一旦中断されてしまいます
そうすると、筋の機能は落ちてしまいそうですね
大まかに、上から受傷後2日、3日、5日、7日、14日、21日の状態を図にしているようです
参考:Järvinen TA, et al:Biology of muscle trauma.The American Journal of Sports Medicine.2005 May;33:745-766
修復の促進・阻害因子
固定期間は1週以内に

固定期間を短くした方が筋の強度は高くなるという知見です
筋を損傷させ2日間ギプス固定後、運動群では筋の強度が早期に回復するのに対し
固定群においては固定している21日間では筋の強度が回復せず、運動を開始すると筋強度が改善していきます
However, immobilization should be restricted to last for less than a week, so that the adverse effects of immobility per se are limited to minimum.
しかしながら、不動そのものによる悪影響を最小限にするために固定は少なくとも1週以内とすべきである
また、固定による不動は様々な悪影響を及ぼします
筋損傷後は、数日強度を落とし瘢痕組織の形成を促すことは重要です
しかし、安静を長期に行なうことは筋の回復過程にとって避けたいポイントです
Thus, the mobilization of the injured skeletal muscle should be started gradually (i.e. within the limits of pain) as soon as possible as the early mobilization has been shown to best expedite and intensify the regeneration phase of the injured skeletal muscle fibers as well as induce angiogenesis, i.e blood supply to the injured area. The exercise is also crucial for the regeneration on the molecular level as quantified with the induction of appropriate molecules for regeneration and correct orientation of the regenerating myofibers.
早期の運動は、筋損傷後の修復を促進し、さらに血管新生(損傷部位への血流供給)を誘発することが示されているため、損傷筋の運動は、できるだけ早く徐々に(疼痛自制内で)開始されるべきである
また、運動は成長因子の誘導および再生する筋線維の正しい配列形成にも関わるため、細胞レベルでの再生においても極めて重要である
運動は、筋修復の促進因子として大事であることが伺えますね
参考文献
Järvinen TA, Järvinen M, Kalimo H : Regeneration of injured skeletal muscle after the injury.Muscles Ligaments Tendons J. 2014 Feb 24;3(4):337-45.

断端はくっつかない!?
ラットのヒラメ筋を利用した基礎研究も紹介します
ラットのヒラメ筋を完全断裂させ筋膜と皮膚を縫合し、断裂後3、5、7、9、12ヶ月の筋の状態を観察した研究です
切断後3ヶ月で瘢痕組織は明確に確認でき、遠位断端の神経支配は3ヶ月時点ですでに起こっていました
切断された筋線維の模式図です

その後、3~5ヶ月で瘢痕組織は縮小したが、瘢痕組織をまたぐ筋繊維はなく
損傷後部位の構造は3ヶ月と12ヶ月であまり変わらなかったとされています
損傷後の筋繊維は瘢痕組織を介在し分かれた状態で修復すると結論づけられた研究です
やはり、筋損傷をしてしまうと損傷線維に関しては強度がある程度落ちてしまうことが推察されますね
トレーニングを行うことで筋断面積を増やし、筋の張力を上げることでカバーしていくことが重要となりそうです
参考文献
Vaittinen S, Hurme T, Rantanen J, et al: Transected myofibres may remain permanently divided in two parts. Neuromuscul Disord. 2002 Aug;12(6):584-7.


筋の修復モデルは把握しておきたいです
筋損傷後の固定はどうするのか、運動はいつから開始するのか、どのような因子が修復を促進するかということに対して考えるきっかけになると幸いです
基礎的な知見も参考にしてリハビリに臨んでいきましょう
ご覧いただきありがとうございました
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