筋損傷の重症度分類

肉離れが疑われた際は、必要に応じてMRI検査を実施し

筋損傷の程度を奥脇先生が提唱されるJISS分類を用いて鑑別します

筋損傷の程度と復帰時期はある程度相関があり、JISS分類で判別できると予後も大まかに見えてきます

そんな、有用なJISS分類が日本ではゴールドスタンダードですが

あのサッカーで有名なFCバルセロナのメディカルチームから報告されたハムストリングス損傷に対してのMLG-R分類というのもあります

今回は、筋損傷の重症度を分類分けする際に使用されるJISS分類

日本ではあまり使われないですが、MLG-R分類というものを紹介します

目次

JISS分類

上記の図でⅠ~Ⅲ型が決まると、損傷程度を決定します

損傷程度は、

1度わずかな損傷
2度部分断裂
3度完全断裂

という程度で決定づけられます

曖昧のように見えますが、実際にMRI画像を見て筋の損傷程度を決定します

例えばⅡ型の筋損傷の場合、損傷程度が

  • 腱膜周囲のもの(1度)
  • 損傷が腱膜まで及んでいるもの(2度)
  • 腱の連続性が途切れているもの(3度)

というのを各スライスで判別して診断を決定します

損傷程度が決まると大まかな予後が見えてきます

Ⅰ型1度1.2±0.4週
2度2.4±1.5週
Ⅱ型1度1.9±1.0週
2度6.1±2.5週
3度9.7±3.2週
Ⅲ型1度2.5±1.7週
2度11.3±9.9週
3度19.2±10.1週

参考書籍:筋損傷の画像診断 MRIによる分類と実践

奥脇透先生が執筆された筋損傷に関する書籍です

JISS分類に関してはもちろん、各筋損傷の症例数が多数掲載されています

筋損傷の「虎の巻」として持っておきたい1冊です

MLG-R分類

ハムストリングス損傷に対して、FCバルセロナで用いられている分類システムです

損傷度のグレード分類は以下の通りです

Grade0筋損傷が疑われるが、MRIで陰性の場合
Grade1筋線維の高輝度変化(炎症)を認めるが、筋線維の損傷や羽状角の変化がない
Grade2筋線維、または腱周囲に高輝度変化を認め軽度の筋線維の乱れを伴う(筋線維の断裂はない)
Grade3筋繊維の部分的欠損や退縮、筋間出血が生じており筋線維の損傷を認める
Grade3r腱損傷や筋腱移行部、筋内腱損傷を認める

参考文献

Xavier Valle先生が

[The MLG-R muscle injury classification for hamstrings. Examples and guidelines for its use]にて

MLG-R分類に関しての報告をされています

これが決定すると、以下のような表記で示されます

JISS分類とグレードの分類は違います

損傷程度が決まると大まかな予後が見えてきます

grade214.3日
grade312.4日
grade3r37日

参考文献

ハムストリングス損傷のMLG-R分類

筋損傷の診断の重要性

筋損傷のリハビリしていく上では、損傷程度の把握をすることが重要です

Ⅱ型でもⅢ型でも、早期に疼痛が軽減しプレーができそうな感覚を持つ選手はたくさんいます

疼痛に応じて上げていくことは再発のリスクが高く、場合によってはさらに重症の損傷程度へ移行することも考えられます

そうすると、結果として競技復帰にかかる時間がものすごくかかってしまい、

選手本人はもちろん、周りの人もアンハッピーになってしまいます

症例数を多くみることでできる経験的な判断もすごく大事になってきますが、

状態を判別することに迷うようであれば、MRI検査を行い損傷程度を把握することをお勧めします

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