走行はジョギングやランニング、ダッシュ、スプリントなど走速度によって名称が異なります
リハビリの場面でもリハビリ強度を上げていく段階で、ジョギング、ランニング、ダッシュをしていこうと提案する時に速度などを曖昧にしてしまうことも多いのではないでしょうか
ジョグやランニングの定義を統一することは難しいですが、論文などを通して速度の目安とそれぞれの走行の特徴についてお送りします
この記事のポイント

- 走行はジョギング、ランニング、ダッシュ、スプリントなどに分類されます
- これら走行形態の分類について文献やGPSなどの考察から考えます
スピード変化による走行形態
文献では
Dorn先生が報告した
[Muscular strategy shift in human running: dependence of running speed on hip and ankle muscle performance] にて
走行を以下のように分類しています
Running | 走行形態 | 秒速 | 時速 |
slow running | 低速ラン | 3.5m/s | 12.6km/h |
Medium paced running | 中速ラン | 5m/s | 18km/h |
Fast running | 高速ラン | 7m/s | 25.2km/h |
Sprinting | スプリント | 9m/s | 32.4km/h |

解説記事:
GPS測定から
FIFAのTraining Centreでサッカーの国際大会のマッチレポートが公開されており、GPSを利用して得られたフィジカルデータも公開されております
2024 パリオリンピック 男子サッカー
2023 FIFAワールドカップ 女子サッカー
各大会のグループリーグから決勝までのマッチレポートをPDFで見ることができます
マッチレポートのindividual date physicalのセクションで各選手の走行距離、速度別の走行距離、高速ラン数、スプリント数、最高速度を確認できます
興味ある方にとってはかなり面白いかと思われます
ここでは、試合中の走速度をZoneで分類し走行距離を算出しています
男子サッカー
Zone1 | 0-7km/h |
Zone2 | 7-15km/h |
Zone3 | 15-20km/h |
Zone4 | 20-25km/h |
Zone5 | 25km/h~ |
女子サッカー
Zone1 | 0-7km/h |
Zone2 | 7-13km/h |
Zone3 | 13-19km/h |
Zone4 | 19-23km/h |
Zone5 | 23km/h~ |
FIFAでは、Zoneの速度設定をこのようにしていますがGPSのデバイスやチームによってZone設定は異なることがあります
GPSの分析は、まだ歴史が浅いのでこれから統一されてくるかと思われます
Zone4がHigh speed Run(高速ラン)
Zone5がsprint(スプリント)として扱われています
サッカーの試合中継で、ハーフタイム等に表示されるスプリント回数は、Zone5の速度で走った回数がカウントされています
GPSでサッカーの強度を分析する際は、走速度からインテンシティを分類することもありZone4、Zone5がハイインテンシティ(高強度)と定義されています
参考記事

ランニング学会では
ランニング学会では、適度なランニングを紹介されており、
- ベテランランナー
- 初心者ランナー
に分類し理想のランニングペースが紹介されています
両者ともに共通項と挙げられているのは
トークテストでmoderate(First equivocal)に分類される強度が理想とされています
また、ベテランランナーは週あたり4.5時間で48kmを上限とする研究が紹介されています
→ペースは6分35秒/1キロ(時速9.1km)を想定(最大5分35秒/1キロ=10.7km/h)
トークテスト
レベル | 運動中 | ||
1 | light | last positive | 歌を唄える |
2 | moderate | First equivocal | 自由に会話ができる |
3 | vigorus | First negative | 会話に息継ぎが必要 |
4 | heavy | 会話が難しい |
Persinger先生が
[Consistency of the talk test for exercise prescription] にて
トークテストを3段階に分類し
- last positive
- First equivocal
- First negative
トレッドミルとサイクルエルゴメーターにおける換気閾値およびトークテストの各段階の相関を調べたところ、VO₂値は、トレッドミルおよびサイクルエルゴメーターの運動中で良好な相関を示した と報告されています

走行形態のまとめ
このような報告や
歩行と走行の違い からまとめると
走行形態 | 速度 | ポイント |
ジョギング | 7km/h程度未満 | 歩行から走行へと自然に変わる速度以下 |
ランニング | Zone2~3(7~20km/h程度) | トークテストで2~3 |
ダッシュ | Zone4(19~25km/h程度) | トークテスト4レベル |
スプリント | MAX | 自分の出せる最大速度 |
このような感じで考えると良いのではないでしょうか
速度は個人差があるためなかなか定義は難しそうです
ちなみにですが、
2024年のパリオリンピックで優勝した
マラソンのタミラト・トラ選手は2時間6分26秒で平均速度:時速約20.0km/h
100m走ではノア・ライルズ選手は9秒79で平均速度:時速36.8km/h
人間って凄いですね
リハビリの強度を上げていく段階では、競技特性や走行スタイルも考慮した個別対応が重要です
走行開始のフェーズになった時に、速度や足部の接地様式、障害リスクを配慮しながら適切に対応できるといいですね
ご自身でも走りたくなった方はどうぞ
おすすめのランニングウォッチです!
速度を測定しながら、走行形態の違いを体感してください!!
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