パフォーマンスアップのためには欠かせないハムストリングスに関して
どのような様式でどこがメインで筋収縮をするのか
どんなトレーニングが効果的かということを複数の論文から深掘りしていきます
ハムストリングスのトレーニングといえばヒップリフトとレッグカール
それぞれの角度や足関節肢位の違いによって筋活動が変わるのかという研究を紹介します
レッグカールとヒップリフト時のハムストリングスの筋活動
文献情報
運動様式の変化によるハムストリングス、大殿筋、脊柱起立筋のEMG活動の違い
Hirose N, Tsuruike M.Differences in the Electromyographic Activity of the Hamstring, Gluteus Maximus, and Erector Spinae Muscles in a Variety of Kinetic Changes.J Strength Cond Res,2018 Dec;32(12):3357-3363.
doi: 10.1519/JSC.0000000000002747.

論文内容
レッグカールおよびブリッジ運動(ヒップリフト)において、膝関節角度および運動形式による5つの筋活動の違いを、明らかにすることを目的として実施しています
16名の男性がレッグカール時の最大等尺性収縮(MVIC)の20%および40%で実施した時と、両脚および片脚のヒップリフト中に測定された時の筋活動を分析しています

レッグカール(LC)において、強度にかかわらず半腱様筋のEMG活動は膝屈曲120°で30°および60°よりも有意に大きく
ヒップリフトでは、ハムストリングスは浅い角度(30°)で筋活動が大きくなり膝の屈曲角度が大きくなるにつれ筋活動は低下しています

まとめ
レッグカール時とヒップリフト時のハムストリングスの使い方を紹介された論文でした
レッグカール時は膝が深屈曲のポジションであれば半腱様筋の収縮の割合が大きく、浅い角度であれば大腿二頭筋や半膜様筋の割合が大きいということを頭に入れておくことで、選択的な筋のトレーニングを実施できるのではないでしょうか
ヒップリフトは実際にやってみても、膝が浅い角度の方がハムストリングスの負荷が大きくなることは実感できますね
また、疼痛が出るポジションを評価しておくことも大切です
この論文では、脊柱起立筋や大殿筋の筋活動も紹介されていました
ヒップリフトをすると腰痛が出るという方には膝の角度をどうするか?
大殿筋の筋出力をもっと上げたい場合にはどうするか?
など考える一つのきっかけになるデータではないでしょうか
ヒップリフト時の足関節肢位の違いによるハムストリングスの筋活動
文献情報
両脚、片足ブリッジ運動時の足関節肢位が体幹、下肢の筋活動に及ぼす影響
Escamilla RF, Thompson IS, Carinci J, et al. Effects of Ankle Position While Performing One- and Two-Leg Floor Bridging Exercises on Core and Lower Extremity Muscle Recruitment, Bioengineering 2024, 11(4), 356
論文内容
5種類のヒップリフトをする際に、足関節の肢位を変えることで、体幹および選択した下肢筋群の筋電図活動がどのように変化するかを研究した論文です
20名の被験者が、以下の各項目を5秒間保持して筋活動を測定しました
[筋電図(EMG)では、内側広筋(VM)、外側広筋(VL)、大腿直筋(RF)、大腿筋膜張筋(TFL)、中殿筋(GMED)、大殿筋(GMAX)、半腱様筋(ST)、大腿二頭筋(BF)、股関節内転筋群(ADD)、脊柱起立筋(ES)、 広背筋(LATS)、腹直筋(RA)、外腹斜筋(EO)、内腹斜筋(IO)を測定]

結果として、5種類すべてのヒップリフトにおいて
足関節底屈で半腱様筋と大腿二頭筋の筋活動が有意に大きく
足関節背屈位では、大腿四頭筋、股関節内転筋群、内外腹斜筋の筋活動が大きい結果が出ました
まとめ
ヒップリフトをする際に、足関節肢位を意識することは多いかと思われます
この運動に正解・不正解はないですが、
その時の目的にあった運動を細かく調整することができると専門家としての役割を果たせるのではないでしょうか
この論文では、足関節肢位の違いに着目をしていますが、5つの各ヒップリフト時の筋活動をデータとしても共有してくれています
論文中の表1で各ヒップリフト時の筋活動のデータが掲載されているので、運動のプログレッション、リグレッションの調整などにも参考になるかと思われます
ぜひ読んでみてください
レッグカール時の足関節肢位の違いによるハムストリングスの筋活動
文献情報
膝と足関節肢位の違いがトレーニーの腹臥位レッグカール時の筋出力と筋活動に及ぼす影響
Marchetti PH, Magalhaes RA, Gomes WA, et al. Different Knee and Ankle Positions Affect Force and Muscle Activation During Prone Leg Curl in Trained Subjects.J Strength Cond Res.2021 Dec 1;35(12):3322-3326.
doi: 10.1519/JSC.0000000000003333.

論文内容
伏臥位レッグカール中の膝関節および足関節ポジションによる最大の等尺性収縮力と下肢筋活動の変化を研究した論文です
15名のトレーニング経験のある男性を対象としました
大腿二頭筋(BF)、腓腹筋外側頭(GL)、ヒラメ筋外側部(SL)の筋活動を、膝屈曲0°および90°、足関節最大背屈(D)または底屈(P)の条件で測定しました

大腿二頭筋の活動は膝・足関節のポジションのいずれも影響しない可能性が示されました
腓腹筋外側頭においては、足関節肢位(D vs P)で膝0°において有意差を認め、さらに膝関節肢位(0° vs 90°)ではD条件において有意差を認めました
腓腹筋外側頭の活動は膝屈曲90°・足関節最大背屈位で最も大きい結果でした
ヒラメ筋外側については、足関節ポジション間(D vs P)に有意差を認めました
また、膝関節角度にかかわらず底屈位でより活発に活動しました

まとめ
100%のレッグカールにおいては大腿二頭筋の筋活動は膝・足関節のポジションに影響しない可能性を示した論文でした
足関節の肢位の違いで、レッグカールする時のハムストリングスの筋活動に差が出そうな感覚はありますが
今回の研究では大腿二頭筋においてはそのような客観的なデータを得ることはできなかったようです
下腿三頭筋の筋活動は、膝・足関節のポジションで影響が出るようですね
ハムストリングスの筋活動について
ハムストリングスのトレーニングとして代表的なレッグカールとヒップリフトにおいてそれぞれの筋活動を紹介しました
膝の角度や足関節の肢位によっても強度や負荷が変わること、また大腿二頭筋や半腱様筋、半膜様筋をターゲットにするためにはどの肢位で行えばいいのかということを文献的に考えました
この肢位で痛みが出る・筋出力が弱い
だから、この筋肉が損傷しているだろうと鑑別することは難しいかもしれません
ですが、仮説を立てて目的にあったリハビリメニューを組んでいくことは重要です
実際の臨床では、経験的なものや解剖学的な知識も考慮してどこの筋をターゲットにするのかを考えながらリハビリのメニューを組み立てることも多いかと思われますが、
筋活動をまとめた文献は山ほど出典されているので、様々な文献を漁って自分の引き出しにすることで
より根拠に基づいた運動療法を提供することができるのではないかと思われます
論文も山のようにありますが、どの論文も著者の努力や熱意の賜物なので目を引いたものはしっかり読んで学びとしていきたいですね
もちろん、自分で興味のあることに対して研究をしていくことも大事です
ご覧いただきありがとうございました
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